記憶/風景

September 10, 2015

8月5日、大林宣彦監督と

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映画ナタリー/大林宣彦がマンガ家・浅田弘幸とトーク、「映画は嘘からまことを出すもの」
http://natalie.mu/eiga/news/156073
小さなweb記事ですが、僕にとっては生涯大事にしなければいけない。
映画ナタリーさん、ありがとうございます。

ひと月経った今も、あの日の事を思い出す度に夢の中にいる様な気分になります。
僕は大林宣彦という映画作家に、十代からただひたすら恋焦がれていました。監督の作る映画に、その精神に。
叶うことがないと思っていた一方的な片思いが、不意に同じ時間を過ごす機会をいただけた。

世界を代表する「ジャンプ」ブランドの売り上げレベルでいえば僕などたいした会社への貢献もなく、その意味では誇れる仕事は何一つ出来ていないのだけれど、それでも自分なりに29年間頑張ってきて良かった。素直にそう思えた日になりました。

イベントには登場していませんが、ずっと二人三脚で映画をお作りになっている奥さんでありプロデューサーの恭子さんもいらしてくださいました。
僕、監督は勿論なのですが、恭子さんの大ファンでもあるんです。
監督の大学時代の8ミリ作品「絵の中の少女」の主演女優さん……そして大林映画を追って来た方はご存知だと思いますが、全ての大林宣彦映画は恭子さんと共にあるのです。

イベントの後、控え室で監督と恭子さんと3人でお話をさせていただける時間がありました。

僕が監督に贈った絵をとても褒めていただき、「ああ、楽しかった。浅田さんありがとう」と言ってくださった。別れ際には、眠くてホテルへ戻ってしまった「息子君へ」と言って握手をしてくださいました。
5月に亡くなった大林映画仲間、小林常夫監督のDVDも進呈させてもらって…。
忘れられない時間です。

イベントの前に4才が「あの夏の日〜とんでろじいちゃん〜」の台詞「まきまきまきまき、まきましょう!」を披露すると、お二人とも笑って、監督が「まきまきまいたら、やくそくね」と続きを唱えてくださり……嬉しすぎてヤバかった。
いいなあ、息子。あとで「かんとくは、おそらをとべるんだよ!」って言ってたみたい(笑)。
うん。だな。いつまでもお元気な「とんでろかんとく」でいてくれるに違いない。
息子、今では毎日、全文嬉しそうに大声で唱えています。


イベントでは「大林節」が優しく染入るように炸裂。
監督が語られた
「人は『ありがとう』の数だけ賢くなり、『ごめんなさい』の数だけ優しくなり、『さようなら』の数だけ愛を知る」…。
この日訪れた人にもきっと心にストックされ、いつの日か自分の言葉として甦る事でしょう。
そして、それはまた必ず何処かに繋がっていくのだと思う。

10代、道に迷いがちな僕は自分が信じられる「正しさ」が欲しかった。
そして、あの時に信じたものは、今も何も変わることはありません。


貴方に恋してきて本当に良かった。


そんな日になりました。



遅くなりましたが、島田一志さん、フィルムアート社の今野さん千葉さん、紀伊國屋書店さん、PSC小中さん。

そして大林宣彦監督、恭子さん。本当にありがとうございました。
お身体、お大事にしてくださいね。「野のなななのか」ソフト化をゆっくりと待っております(もちろんメイキング付きで…)。

僕は生涯、この日を忘れる事はないでしょう。

ご来場頂いた皆さん、ありがとうございました。心から。


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June 15, 2015

長崎旅5 最終回 長崎

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黒島から佐世保へ…「長崎旅4 佐世保にて」の続きです。

ハウステンボスを高速観光。
どうでもいいけどハウステンボス内にある本当に住める家(別荘?)にびっくり。クルーザーが必須なのかな?なんちゅうファンタジーと現実の狭間。

この日、親父のお兄さんにも会いに(やはり完全アポなし)。
これも色々ありすぎて……割愛(笑)。でも、いい再会をセッティング出来たんじゃないかと思う。アラ80兄弟、笑顔の写真が撮れました。

最後は長崎市内。
長崎の街、僕の生まれ育った横浜にも似ているせいなのか全く違和感なし。
黒島帰りのフェリーで乗り合わせた方々に教えてもらい、ちゃんぽんの美味しい店にも寄れました。

最終日には見ておきたかった大浦教会へ。

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長崎のマリア様は基本ルルド系。どれも上品です。

帰りの飛行機、グズる3才に手を焼いて他の乗客さんに申し訳なく思う場面も。
そんな時、ナイスタイミングで絵本を渡してくれたり、
子供ジュースの手描きアンパンマンカップにちょっと感激。ありがとうJALの皆さん。

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ダーツの旅すぎてヘトヘトになったけど、僕自身の人生にとって大事な旅が出来たように思います。

子供の頃、施設に預けられていた僕にとって、両親との心の距離は今も遠く、縮まることは無い。
幼い頃、不思議に感じた十字架やマリアのペンダント。異国のように感じていた九州、黒島。

でも、遠くにあったつながりは、今、少しだけ近くに感じられるようになりました。


今度は自分の人生に関わる所として、長崎に帰れたら、と思う。



そしてやっぱり魅力的だった黒島。

どんな形になるかは分かりませんが……いつか、描いてみたい。




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おしまい


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May 09, 2015

長崎旅4 佐世保にて

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「長崎旅3 浅田家」の続き。

別名"クロス島"とも呼ばれ、江戸時代に弾圧を逃れたキリスト教徒が多く隠れすんだ島、浅田家のルーツ「黒島」………を後にします。


黒島から再び相浦港へ。
そのまま、お墓参りをかねて佐世保の親戚(親父の弟さんの家)へ向かいます。

先祖の墓を親父の弟さんが管理している事も実は初耳で、そしてこれもアポなし。
76歳「だから来ること誰にも言ってねえーから。ぎゃっはっは」
こっち来るって電話すらしてない?…コラァ!
急遽連絡して、「実は我々、今黒島に居て……フェリーが着き次第、伺ってもいいですか?
…そして…お墓があるって聞いて…お参りしたいんですが……」
って、夕方17時着のアホ軍団。

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海の見える墓地。初めて手をあわせる浅田家先祖の墓。

黒島出身の浅田家は皆当然、カトリック。
僕自身に特定の神はいないけれど、マリア様も近所の八幡様も同じように感謝し、ささやかなお願い事をさせてもらっている。
大きな存在と、先祖へ捧げる感謝。祈り。

心地良い夕暮れの時が過ぎていきます。



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そして、赤ちゃんから大人まで急きょ招集された総勢15人からの親戚大集まりで作られる晩餐がスタート。
(本当にすいません…)。
漁師の浅田家系。
自分もここに生まれてたら漁に出たのかな。それはそれで面白かったかもなあ…。

魚(肴)大爆発。ごちそうに酔いしれた夜でした。


最後は長崎市内へ…。


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5につづく


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April 09, 2015

長崎旅3 浅田家

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黒島天主堂のほんの裏手に、それはありました。


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家は家族で作った、という。…え?(笑)。僕には想像も出来ない話です。
しかし今は倒れる寸前じゃない?というレベル。ここが浅田家の生家…。

現存しているうちに来れてよかった。
このブログを見た誰かが、もしも黒島に渡ることがあったら天主堂ついでにウチの状態を報告して頂けたらありがたい(笑)。
(くれぐれも倒壊にはご注意を…)


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共同墓地に足を踏み入れる。

被い茂る草木の中、墓石に美しい造花や聖像が供えられている。非日常的な光景。
奥にはかなり古い十字架も見えます。

「浅田」姓も本当に多い。遠い遠い親戚のみなさんなのだろうか。
歩いてると普通に足元にでかいヘビが現れた…。すげえ。息子3才にはキャンプ以上の大冒険です。

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4時間半ほどの滞在。でも、島の全てを見て回るには充分な時間でした。
ここでは時間がゆっくり進んでる。

別名"クロス島"とも呼ばれ、江戸時代に弾圧を逃れたキリスト教徒が多く隠れすんだ島「黒島」。


子は何を思ったろう。

ほんのわずかでも、島の何かを感じ、記憶の片隅に残してくれたら……嬉しいと思う。



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4につづく

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April 04, 2015

長崎旅2 黒島天主堂

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この日は観光客も我家だけ。

常駐してる若い男性がひとり。
「ガイドじゃないんでうまく話せませんが…」といいながら、一生懸命、天主堂の説明をしてくれました。「坂道のアポロン」で舞台になった話も。

信者さんもいない時間だったので、写真も撮り放題、撮らせてもらいました。


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天井には見事な木が貼ってある……と思いきや。
実は当時、木目が出るような良い木を買う予算がなく、信者さん達が薄い木にニスで木目を描いたという仕様。
確かに良く見ると、現実ではあり得ないパターンの木目も。
この教会の不思議なファンタジー感は、そんな所にも寄るのかもしれない。

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曲面の後ろ姿がまたいい。
黒島天主堂は、フランスでも日本でも、僕が今まで感じた事のないタイプの美しい教会でした。

ここも世界遺産に登録されるであろう、長崎の教会群のひとつです。

でも、この教会も遠からず耐震工事が必須な状態とのこと。
昔のままの姿を見ておきたい人は、今のうちに訪れた方がいいかもしれません。


で…、その天主堂のホントすぐ裏手に浅田親戚の家が。
親父も何十年かぶりの訪問。しかも突然の。連絡しろっつーの!

「こっちだったか?」って勝手に人の家の敷地に入って……
家のおばあちゃん「あんたたち誰ね?………え!?」みたいな。

見合ってしばし、ボーゼン。

でも、良く来た!って凄く歓迎してくれました。
(「来るなら連絡して!」って何度も言ってたけど…)

漁師家系の浅田家ですが、今続けているのは佐世保に居る親父の弟さんだけ。
黒島の親戚は今、個人の出来る範囲で農業を営んでいます。

その親戚の家の横…に、親父の生家。浅田家のルーツが……

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3につづく

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April 02, 2015

長崎旅1 黒島へ

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空港からレンタカーを借りてのこの旅。
初日は夜に到着し佐世保に移動。ホテルを朝9時に出発して相浦港に。
1日に3便しかないフェリーで、50分掛け黒島へ向かいます。

絨毯敷きの小さな船内。出会ったおばあちゃんとも会話が弾む。
「どっから来たと?」「神奈川です。でも親父が黒島生まれで」
「親戚はおると?」
「もう誰も住んでなくて‥‥」

親父「親戚はおらんけど、イトコはおる」

「え!?」

従兄弟も親戚やろが…
てか何言ってんだ、初めて聞いたぞ!?
こんな所で新情報出してくる76歳。じゃあ、挨拶しねえとだろ!(土産なし)
そんな感じでこの旅、つねに「ダーツの旅」みたいになってくるわけです。

しかし長崎、気さくで優しい人が多い。どこでも普通に会話が弾む不思議。
それにはずいぶん助けられました。

島に到着。唯一のアスファルト一本道を走り、黒島天主堂へ向かいます。

自然溢れる島の風景に忽然と登場する見事なレンガ作りの建築。
そしてそれは、今でも島の人々の生活の中心なのだといいます。

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つづく

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March 31, 2015

長崎旅 0

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去年の話。
2014年、夏の終わりに行ってきました。九州は長崎へ。

浅田家のルーツ。
別名"クロス島"とも呼ばれ、江戸時代に弾圧を逃れたキリスト教徒が多く隠れすんだ島「黒島」へ…。
今残る500人前後の住民も、ほぼカトリックだといいます。

テガミバチ19巻の発売も、もうすぐって事で。

発売日までの適当更新で綴る写真日記。
よかったらお付き合い下さい。


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February 06, 2015

大森暁生さんと

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大好きな彫刻家、大森暁生さん。

ソードフィッシュの大塚さんと、大森さんの工房・D.B.Factoryスタッフの方々がうちの仕事場を訪問してくれました。
(以前、僕が大森さんの工房にお邪魔した時のblogはこちら

嬉しくて原稿等色々見てもらおうと思ったら、全て集英社に預かってもらってるんだった(笑)。

邪魔しに来ていたウチのいたずらヤロー3才が習い事に連れて行かれると、時計の針は自然とスピードを落とし(笑)…、
もてなすはずの僕の方が、色んなお話を伺い、楽しい午後を過ごさせてもらいました。

僕の知らない美術の世界。
それでも、表現する事と、その対価で生きていくという事…、その過酷さと喜び。
戦地は違えど…戦友のようなシンパシーを感じます。

大森さん、作品からは孤高の天才…なイメージ全開なんですが、
お会いさせて頂けば、何とも自然体で笑顔が素敵なロックな兄ちゃんなのでした。
もちろんオフの日の話…(笑)。
でも、漫画の世界もそうですが、第一線であればあるほど自然体で優しい方ばかり。
好きなことを仕事にしているという感謝が心の根源にあるような。なんだろう。そんな気がしてなりません。

夕暮れには、皆で(馴染みの)鎌倉カフェ・ゴーティーへ。
大森さんも関わることになった(内緒…?でも書いちゃう)WEBカフェ「ソードフィッシュ」の作戦会議。
僕も、大森さんの作品を・・・・てみたいな。
ソードフィッシュ…楽しみが増えそうです。

勿論、大森さんの今後の展開、展望も。


大森さん(イケメン)、大塚さん(イメケン)、
佐野さん(美人)とマイルスくん(ハーフでイケメン)も、楽しい時間ありがとうございました。

また、必ず。


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大森暁生 akioohmori.com
http://akioohmori.com/

ソードフィッシュ
http://cafeswordfish.com


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January 21, 2015

小林常夫監督『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』

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クリスマスの鑑賞失敗(笑)から数日後。再チャレンジ。
なんとか去年中に『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』観ることが出来ました。

スケールやアクションのデカさと、パーソナル的切なさの対比とバランスが僕には興味深かった。
小林常夫監督の指向性もしっかり有りながら、すんごいエンターテイメントに仕上がってる。見事な映画でした。

「テガミバチ」でもお世話になり、今も呑み友としてお付き合いさせてもらっている小林監督と
正月明け、地元鎌倉でサシで密会してきました。

映画の裏話を沢山聞いて、色んな資料も見せてもらったり。
半端ない世界観構築……。遥かなる昔、アニメックでしか買えなかった高価な設定資料集や、アニメージュのロマンアルバム世代の僕にはたまらない。書籍でじっくり眺めたいよこれ。


許可を得た資料画像を、ちょっとだけおすそ分け・・・

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実現するのかしないのか。
もししても一体いつなのかはアレですが、小林常夫さんと二人で考えている事があって……。
そんな打ち合わせ事もゆるゆると。

でもいつか、何かしら形になったらいいなと……思います。



映画『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』
http://www.naruto-movie.com/index.html

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December 04, 2014

高倉健さん

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ウチにあるものを引っ張り出したり、追悼番組の映画を仕事しながら見ています。

若くて格好良い東映時代の任侠ものも好きだけど、その後の現代物が僕のリアルタイム。
個人的な思い出も含めて「遙かなる山の呼び声」「海峡」「あ・うん」は3監督3様で、特に好きな作品たち。
作品をフラットに語る事は簡単だけれど、触れたタイミングの思い入れは僕にとって一番大事な事です。
それは人生の一部だから。


健さん。僕にとっても「いつかこうありたい」憧れと幻想の人でした。
でも、実は亡くなったというリアル感がまるでない。
「役者はスクリーンの中」というのを貫いた方だったからなのかもしれません。

健さん、生前墓がウチにも近い鎌倉霊園の一画にあるそうです。
その墓の側には江利チエミさんとの生まれなかった命を供養する水子地蔵も。


安らかに。

作品はいつも我々の側にあります。







本日ジャンプスクエア1月号、発売です。
さあ、年末進行に突入・・・

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